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『リウマチの正しい情報発信で、医療格差ゼロへ』湯川リウマチ内科クリニック

保険制度の充実や医療技術の発展等により、世界でもトップレベルの平均寿命を誇る日本。しかし、医療機関の都市部集中や、クリニック間の治療精度の違いなど、医療格差問題が指摘されているのも事実です。SDGs「すべての人に健康と福祉を」にもあるように、誰もが平等に、健康的な生活を確保するためには、この問題を無視することはできません。

今回は、リウマチという専門医療で医療格差解消に取り組まれる、湯川リウマチ内科クリニック院長、一般社団法人リウマチ医療・地域ネットワーク協会理事長の湯川宗之助さんに、医療格差問題と取り組みについてお話を伺いました。

きっかけは目の前の患者さんだった

リウマチ医を目指したきっかけは何ですか?


リウマチ医療を専門に決めたのは研修医時代のことです。ある日、リウマチを患った20代の患者さんがいらっしゃいました。彼女の手指は急速に変形が進んでいて、カバンからモノを取り出すことさえ困難な状態。当時はリウマチが難病と考えられていた時代です。彼女の今後の人生を想像し、恋愛や結婚、出産などをどのように乗り越えていくのだろうと、いたたまれない気持ちになりました。リウマチがライフステージに大きく影響する病気であると実感し、少しでも患者さんの普段通りの生活を取り戻してあげたいと、リウマチ専門医になることを決意しました。



─ 2015年には、湯川リウマチ内科クリニックを開院されたのですね


患者さんに一番近い場所で不安を取り除きたいという想いで、クリニックを開院しました。変わらず何よりも大事にしているのは患者さんに安心していただくことです。受付から医師にいたるまでスタッフ全員が「患者さんを自分の大切な家族、愛する人だと思って行動する」という共通認識をもっています。なぜディズニーランドが多くの人から愛されるテーマパークになれたのかと考えると、そこで働く方々に共通する価値観があるからだと思います。同じように私たちもスタッフ全員で同じ想いをもって患者さんと接したい。それが、安心できるクリニックにつながると信じています。

きっかけは目の前の患者さんだった

医療格差問題を解消し、全国のリウマチ患者さんへ

─ 一般社団法人を設立された背景を教えてください。


一般社団法人リウマチ医療・地域ネットワーク協会は、クリニック開院の翌年に設立しました。リウマチ治療において、医療格差という社会問題を解決したいという考えから始まりました。医療格差の背景には、ただでさえ少ない専門医が都市部に集中していること、医療機関によって治療法に大きな差が出てしまっていることがあげられます。従来、リウマチは「不治の病」として知られ発症した患者の人生を大きく変えてしまう病気でした。しかし、ここ十数年でリウマチの治療技術は飛躍的な進歩をとげ、今では様々な治療法が開発され、寛解は当たり前、完治も夢ではなくなってきています。ところが、そういった状況を知らないがゆえに漠然と治療を受け、やむを得ず退職に追い込まれたり、介護を余儀なくされる方が多くいらっしゃいます。患者さんに一番近い立場ともいえる開業医の私ができる社会問題の解決策は、「市民や患者さんへの情報の普及」というかたちで問題の改善に取り組むことだと思いました。



─ 具体的にはどのような活動を?

リウマチ専門のサイトを立ち上げたり、一般の市民の方を対象にセミナーを開催したりして全国のリウマチ患者さんの為のネットワーク作りを目指しています。より多くの人にわかりやすく知識を伝えるため、リウマチをテーマとする映画も作成しました。おかげで多くの方に認知されるようになり、理解も少しずつ深まってきていると感じます。また、私はリウマチの専門医ではありますが、医師という立場では本当のところで患者さんのつらさや思いに迫れていないのではと感じることがあります。そういった意味でも、患者さん同士で話し合い、思いを打ち明けられる場があることは、とても意義深いことだと思っています。

 

医療格差問題を解消し、全国のリウマチ患者さんへ

世界に向け、まずは足元から

─ 今後の展望を教えてください

世界のリウマチ患者数は8000万人程度、日本では全国で約80万人いるといわれています。ひとりでも多くの患者さんの生活を少しでも良くするため、まずは足元の日本から変えていきたいです。自分の国で解決できない問題に、世界で取り組むことはできません。世界には高い治療費を払わなければ医療を受けられない方が多くいます。それに比べて、日本は医療機関も自分自身で選べ、保険制度によって金銭的な負担も軽減されており、ある意味恵まれた国だといえるでしょう。こういった環境である以上、地道に啓蒙活動を続けていけば、現在の問題は改善されていくはずです。

患者さんが安心して暮らすために、住まい・医療・介護・予防・生活支援などのサービスが地域で一体的に提供される仕組み構築が急務となっています。これは、様々な分野にわたる協力団体の支援体制があってはじめて実現されるものです。まずは、市民の方や患者さんに正しい情報を広めていくことで、自身の判断で良い医療機関と巡り会える道筋を作っていきたいと思います。患者さんが遠方の専門医まで通わなくてもすむような、医療格差問題をゼロの状態にしなければなりません。正しい知識が普及し、リウマチの情報を知らない方がいない、そんな未来を夢見て走り続けます。

プロフィール

1975年生まれ、東京都出身。高校生の時、祖父の病をきっかけに医師を志す。2000年東京医科大学医学部医学科卒業後、 東京医科大学病院第三内科、産業医科大学医学部第一内科学講座を経て、15年湯川リウマチ内科クリニックを開院。16年一般社団法人リウマチ医療・地域ネットワーク協会を設立。リウマチ治療を受ける患者間、及びその治療システム構築のための社会環境基盤にかかわる事業者間、医療・介護従事者、自治体との連携並びに知識交換を促進する活動。リウマチ治療システムの情報収集・情報公開・普及活動などリウマチの正しい理解を促す啓蒙活動を精力的に行う。

湯川リウマチ内科クリニック / 一般社団法人リウマチ医療・地域ネットワーク協会
湯川宗之助

https://yukawa-clinic.jp/

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